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2010年 12月 10日

残念な浮桟橋

最近BPAのクルーズに参加いただいた方がご自身でクルーズ企画を主催するケースが何件もでてきた。近づきがたい都市の水辺が実はかなり自由に航行できるし、協力いただける船会社さんもたくさんあることに気づいたからだ。僕らがこのような企画型クルーズを始めた2007年頃は、ごく一部の船会社にしか対応いただけず、また参加者もなかなか集まらなかったのだが、この3年間でずいぶん状況が変わってきた。今は都市河川クルーズバブルといってもいいくらい人が集まり、BPAクルーズの類似企画も見られるようになった。そんな中自分たちで企画してみたくなるのは当然の成り行きであり、僕らの価値観が共有されはじめたということだと思う。そんな企画のひとつに、興味深い出来事があったので記録しておく。

新宿区O地区青少年育成委員会主催による日本橋川E-BOATツアーを10月24日(日)に常盤橋防災船着場にて開催した。
この企画は、BPAのリサーチクルーズに何回かプライベートで参加いただいていたO地区青少年育成委員会の方から、何か船を使った地域交流イベントをやりたいとの相談があったのが切っ掛けであった。この手のイベントは大概地元の桟橋などを使って地元の団体が開催するケースがほとんどなのだが、新宿区は内陸部で運河や可航水路が無いエリアであり、船や水辺を使った企画とは無縁である。地元でない団体が防災船着場を使用してこの手のイベントを開催するのは極めてまれである。今回は、新宿区の予算が使え、区民の交流を目的とした企画であれば新宿区外で開催しても問題ないというもの。
条件は東京の水辺であれば何処で開催しても良い。できればE-BOATを使いたい
親子参加型のイベント。対象人員は100名くらい。というものであった。
僕らは区の団体が他区の水辺と桟橋を使い水上イベントを開催するという稀なケースのためこの機会を有効に使うべく、ある企てを試みた。
それは、わりとコンスタントに使われている中央区の常盤橋防災船着場よりも、立派な浮桟橋があるのに極めて利用率が低い桟橋を使ってみようという提案である。
BOAT PEOPLE Association(BPA)は一般社団法人という非営利団体の法人格を持っているのだが、どこの地域にも所属せず回遊魚のごとく東京・横浜の運河や都市河川をぐるぐると船で回遊している団体(文字通りボートピープル)であるため、一般的な地元の水辺を活性化させるべく結成されているNPOとは大きく性格が異なったグループである。よって、特定の地域との繋がりが弱く地元主催のイベント等には参加することは困難であり、当然地元主催イベント時の開放しか考えられていない防災桟橋の開放時には参加できない状況なのだ。今回のような、区に属した団体が主催するイベントであれば、同じ東京都の区と区の話し合いとなるため解放されるのではないかという期待があったのだ。

まずは、BPAにてターゲットとなる桟橋の洗い出しと1周1時間程度のコースを数案主催者に提案した。その中から、都市の水辺の面白さが凝縮され、無理の無いコースを組めるがE-BOAT航行の実績が少ない芝浦の運河が浮上してきた。芝浦西運河に1年前に出来た浮き桟橋があるのだが、使っているのを芝浦運河祭り以外に見たことがない。ぜひこの機会に使ってあげたらどうかと提案した。
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水路をボートで航行するには特に許可や届出は必要ないのだが、ボートを下ろしたり参加者の乗り降りのために必要な桟橋の使用許可は桟橋管理者から得なければならない。たいてい連絡先が桟橋の入り口に書いてあるため、そこに書いてある電話番号をお伝えした。そこには田町の商店会の連絡先が記述されていた。
主催者は、まずそこに電話し会長および責任者の方にお会いして企画趣旨をお話したようです。僕も同行したかったのだが、会社勤めのため昼間の活動は無理があり、主催者のみで交渉した。結果いろいろな要因で利用率の低い桟橋を外部の方が有効利用してくれるのであれば歓迎するとのありがたい合意を得ることができたようだった。最大の難関を突破したと。後は必要書類を事務的に提出すれば問題ないだろうと考えていた。
さっそく商店会の方のアドバイスに従い東京海上保安部にイベント時の水域使用許可の申請をし、本企画では水域を占有しない旨の説明を行いイベント開催の許可を得た。これで終わりかと思いきや、桟橋を管理しているのは区ではなく港湾局なので、そこに桟橋の使用許可をもらう必要があるとのこと。不吉な予感です。
案の定、港湾局からは地元主催のイベント以外は開放できないとの返答。地元および保安部の了解はとっているとの説明をしてもダメの一点張りだったようです。聞いた話なので詳細は不明ですが、このような稀な機会を利用して局内で検討するという融通は利かないのですね。残念なことです。ルールというのは状況によって柔軟に対応できなければ硬直化し、高額な施設を造ってもまったく使われない状況を生みます。本来の機能は防災桟橋であり、地元のための施設であっても利用率が低くては身も蓋もないと思うのですが・・・。そんなことより、何か起こったときの管理者責任を少しでも減らすことが最大の関心事となってしまったのでしょう。行政がやらなくてはならないのは使わせない管理をすることではなく、桟橋利用を促進させ防災桟橋の本来の機能を体験してもらい広く周知することのはず。そんな企画をただで開催してくれる団体がたくさんいるのに無碍にしちゃいけませんね。必要なルールは事前の使い方説明と事故が起こったときの対処法とそのネットワーク作りではないでしょうか?
水辺に希望を持っていた方に、いきなりこんな生々しい体験をさせてしまい申し訳ないと思うと同時に、こんな面倒なことをしてまで水辺の体験企画をしたいという主催者の情熱に脱帽です。
そんな経緯があり、さすがに主催者も水上企画を諦めかけていましたが、僕らもお世話になっている、E-BOATを所有するNPO法人 地域交流センターに相談したところ日本橋川の常盤橋防災船着場なら地元なので使えますとの回答をいただき、彼らの庭である日本橋川で無事開催できた。僕らにとっては良く知った場所だが、O地区の皆さんにとっては馴染みのない場所でなかなか面白かったようです。実現してよかったです!
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いろいろありましたが、これに懲りずまた水上企画にチャレンジしてもらいたいものです。
BPAではご自身で企画したい方のお手伝いや楽しいコース紹介、適切な船のご提案もやってますので
お気軽にご相談ください。もちろんお手伝いレベルなので無料です。

by canalscape | 2010-12-10 19:24 | クルーズイベント


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