2009年 03月 14日
高架下建築本(大山顕)の出版を記念して、高架下建築ツアーが実施された。浅草橋から新橋までの高架下を約4時間歩き続けた。参加者はなんと約50人、大盛況である。東京も随分成熟した都市になったのか?都市整理公団のワークとしては実によい対象だと思う。 高架下建築とは土木構築物である鉄道高架橋脚の隙間を埋めるように挿入されている構築物等を指す。構造的に自立しているとは言い難く、橋脚に依存した空間である。もちろん建築基準法などどこ吹く風である。橋脚自体も実に多様な形式が混在している。隙間に挿入されているファサードのみの高架下建築も同じ橋脚形式の中でも多種多様なスタイルで存在しており、一覧すると実に混沌とした状況であった。 用途としては、店舗、住宅、倉庫、事務所、車庫、VOIDとあらゆる用途が高架に沿って、延々と混在している。特に高架下建築解体後のVOIDは生活の痕跡が壁画のように残っており、まるでインドの石窟寺院を見ているような迫力がある。店舗の看板や倉庫のサインも、昭和の空気をそのまま保存したような雰囲気。よくぞ残っていたものだと感心する。なぜ10Kmにも満たない短い区間にこれだけ多様な形式を形成するに至ったか 高架下空間の利権や生成の歴史が気になるところである。おそらくアメ横同様に戦後の闇市などがベースになっているのではないだろうか?なんとなく運河の船溜まり同様、不法占拠後の既得権の集積のように見えてしまう。都心に残された、時間が止まった空間、昭和的空間の一種だ。 また土木と建築の融合、というだけでなく鉄道の軌道に沿った線形空間であることも大きな魅力だ。露地、水路、パイプライン、線形の空間体験は実に楽しい特に有楽町から新橋までの高架下ナショナルマーケットなどは見るというより感じる空間体験であり、純粋にシークエンスのみが存在している異世界である。ぜひ一度1人もしくは少人数で体感することをお勧めする。
by canalscape
| 2009-03-14 23:09
| 土木遺産
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