2008年 04月 06日
今週はやっとドック入りを紹介できる。これは07年8月の記録。9月の国交省関東整備局主催の防災フェアーに出動するために、船舶検査を受ける必要があり実施した。この「艀」というカテゴリーは実に厄介だ。自走できないため、なんと分類上船舶ではない。浮体構築物という微妙なポジショニングなのだ。じゃあ船でないのだから船検いらないじゃないかというと、そうではなく、不特定多数の人員を乗せる場合は特例的に検査をパスしなくてはならないとのこと。もっとも、艀に人を乗せることからして、本来ありえないことなのだから文句を言える立場でもない。さらに係留してインフラを繋ぐと建築基準法、消防法の適用となるから始末に悪い。艀というのはカテゴリーとしては実に曖昧なポジショニングなのだ。もっと艀に市民権を! そんなこんなで、我々はLOBの生まれ故郷である江東区の造船所まで里帰りすることになった。LOBは尾竹型13号と命名されており20~30年前に建造されているようだ。東京周辺の運河や河川(神田川など)に入れる大きさに設計されており今でもわずかだが稼働している。その後はプッシャーバージといって、ボートで押すタイプが主流となっている。 何故かって?曳航だと、ボートに1名、艀に1名必要だが、押す場合は船長1名で済むからだ。僕は曳航型のほうがはるかにかっこいいと思うのだが、時代は人員削減、業務効率化を優先させたのです。この造船所このあたりの運河によくある典型的な規模と設え。レールが水中に潜って行く感じがたまりません。いよいよ上架されるLOB。水面の中の船底どうなってるの?考えると妄想が広がり夜も眠れない。 いよいよ上架された船底を拝める時がやってきました。この写真ではわかりづらいが、何とまっ平らではないですか!キールのキの字もありません。この船底を見ると艀はやはり船舶ではないと再認識してしてしまいます。大きな舵も船底レベルでスカッと切れています。これで舵の効果はあるのでしょうか?艀の設計思想も調査するといろいろ面白い話が出てきそうです。ちなみに船底はたしか8mmの鉄板だそうです。厚いですね。 しかし、水上ではヒューマンスケールに見えたこの艀、ドックに入れてみるとでかいですね。その後、ドックを密閉しサンドブラストで付着物、塗装をはがし(写真)船底検査。結果良好であり、特に補修することなく無事クリアーした。その後、再度横浜赤レンガ倉庫に曳航し防災フェアーに参加。無事終了。出費が痛いですが貴重な体験をしました。
by canalscape
| 2008-04-06 10:12
| テクノスケープ
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