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2010年 02月 21日

Tokyo Floating Village

先日のTYハーバーで開催された東京アートポイントとBPAによる共催トークイベント「水辺を開く アートで開く」で現代美術家の宇治野さんの提案で、晴海トリトンスクエアに面するこのいかだの上に築かれた水上集落に廃材でやぐらを組みあげる提案があった。美術や哲学に疎い僕がコメントすると見当違いになりかねないので作品のコメントは割愛するが、個人的には数ある東京の水辺でこの場所に着目していることに共感した。
Mapはこちら
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この朝潮運河に面する月島・勝どき・晴海周辺はもともと明治中期以降の埋め立てで出来た完全な人工島でその上に細い路地を碁盤の目状に配置した町屋が立ち並んだ石川島造船所の労働者のための借家街であったことがルーツであったようだ。この借家の街であったことが、江戸以降の先住民である佃の強固なコミュニティーとは違い、区画整理が進んでしまっている要因のようだ。詳しくは知らないが、面白そうな話だ。
その後、月島の町屋街区や勝どきの倉庫街は超高層街区に変容しつつある。このあたりの再開発風景で特徴的なのはヒューマンスケールの町屋や路地と巨大な超高層街区が隣接していることだ。結果、路地の隙間や町屋の屋根越しにこれら巨大建築が現れるため、極めてエキサイティングな都市景観を作り出している。またこれらの風景はこの20年くらい東京の現在を代表する風景として、様々なメディアや写真家の対象となっている。

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ご存じのとおり運河の船溜まりや水上建築物はどんどん排除する方向で行政は動いている。
陸上で、震災に脆弱な木造家屋の低層高密度地域や消防車の入れない路地街区を再開発して、広い道路と公開空地がちりばめられた高層耐火街区に変換させているのと同様の論理なのか?陸上の整備は地震大国であり元々は木造文化である日本の環境を考えると、否定できない部分もあるのだが、運河のそれは景観整備以上のものがあるのだろうか?
現在の運河は業務船の利用率は激減しており、夜や休日に屋形舟や遊漁船が運行する程度である。別に今のままでも防災上問題ないと思われるのだが。美観上好ましくないというのがその理由か?景観の良しあしの話であるのなら全くの見当違いだと個人的には思う。
それとも屋台が都市から排除されている論理に近いのかな?

自然発生的で増殖性が感じられる空間と新築時にきっちり計画され、増殖を認めない現在の都市計画基準に沿って建てられた再開発街区。ビジュアル的にも圧倒的な対比を見せている。整理されデザインされた高層街区も否定するつもりはないが、都市が均質化していけばいくほど、これらヒューマンスケールな空間はとても重要な意味を持ってくると思う。排除するのではなく、修繕し緩やかに自然増殖しつつ利用し続けることを考えるべきと思うのだが。そんな議論が起こる間もなく消えていくのだろう。
保存活用など水面の管理責任を問われる官庁にとっては、冗談じゃないということになるのだろう。問題の火種になる可能性のある空間は排除してゆくのは当然だと。とにかく問題が起きないようにすることが重要なんでしょうね。僕的には問題の起きない都市って、もはや都市とは言えないと思うし、どうせ違った問題が次々と現れるのだからそんな躍起になってリスクを潰すような整理をしていかなくてもいいじゃないと思うのですが、問題が起こってからでは手遅れなんです、あなた責任取れないでしょう?という話になるとどうしようもない。水辺が隙間なく手すりでガードされているのと同様の力学だ。この理屈は僕らの日常生活や仕事の中などあらゆる場面で現れ、当然のこととしてリスクの無い方向に動いてゆく。そのうちそれは無意識のなかに根付いてしまい、根拠のあいまいな「常識」として君臨し始める。こうなってしまうと異議を問うても話が膨らむことは困難だ。

この水上施設、以前は木材運搬業の業務船の船小屋だったようだが、最近では港湾局の管轄となっており2009年末まで、小型船舶免許の教習艇の発着所として利用されていた。一般公開されていないのは残念ながらも、何らかの形で継続利用されているのは素晴らしいことだと思っていたのだが今後は立ち入りを完全に中止し解体撤去する方針であるようだ。
その前に短期間アートスペースという最後の役割を担い最期を迎えることで
この有機的な水上空間が都市の記憶に明確に刻まれることは大変意味のあることのように思うのだが。現時点では縦割り官庁様にとっては全く関心が無いことのようだ。残念なことです。
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by canalscape | 2010-02-21 20:06 | 船溜り・船小屋