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2008年 11月 24日

芝浦チャータークルーズ(その2)

f0206739_229327.jpgなぜか、タワーマンションネタは思いのほか長くなってしまう。前回の続きです。今回紹介のもう一つのチャータークルーズサービス、アーバンランチは昼間は芝浦・お台場・豊洲を巡回する小型水上バスであり、夜になるとチャータークルーズ船に変身するという2毛作船である。計画時に近隣に寄与する公共性のある施設として三井不動産が提案したものらしい。水上バスとしてはとても利益が見込める航路では無いかと思うが、都市計画上の構想としては素晴らしいものだ。ちなみに豊洲のアーバンドックも三井の開発、IHIの造船ドックとクレーンを水上バス乗り場として保存再生しています。
こちらの船もフランス製のカタマランを改造したものらしい。三井が購入し都観光汽船の子会社観光汽船興業が運営委託されている。現在3隻就航している。こんな都市計画家が夢見る水面利用構想を実践しているデベは三井だけだ。豊洲や芝浦のような大規模再開発に絡めないと実現しない仕掛けだと思う。大規模再開発のメリットである。


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さて、僕は去年の芝浦運河祭りのついでにお台場まで乗船してみた。休日にも関わらずやはりガラすきである。船はとても公共の水上バスという設えではなく、夜のチャータークルーズで乗船してみたいと思った。今年の4月、チャンスはやってきた。担当現場の慰労会だ。施主も含め30人弱で開催。このくらい集まれば、なんとか1人1万くらいで飲み放題でプランが組める。屋形舟と同額ではるかにリッチで快適なクルーズを開催可能だ。トイレも広く快適でありバーカウンターあり、シャンパンもバンバン抜いてくれたし、食事も十分な量と質であった。要望があればDJブースも設置可能とのこと。ケイタリングサービスはJICOOが提供しており抜群にセンスが良い。カタマランなので、スペースも正方形に確保でき、天井も高く揺れも少ない。コミュニケートしやすい水上空間である。船酔いした方は1人もいなかった。また船にスピードがあるため、コースも勝どきや佃島を経由し豊洲、お台場まで周遊してくれる。素晴らしいナイトクルーズを提供してくれる。三脚なしだったのでいまいちだが、クルーズ風景UPしました。


f0206739_22113861.jpgそんなこんなで大いに盛り上がった宴会であった。この値段なら法人利用なら十分無理のないプランだと思うがいかがでしょうか?よく船を予約すると雨でもキャンセル料とられるし使いにくいとの声が聞かれるが、明らかな荒天の場合は食材分の予算のみで当日延期にも応対してもらえる。無理してお客さんに来てもらっても皆不満が残るからね。幹事は大変だが、僕も1度キャンセルの後利用しました。
こんな感じの芝浦桟橋状況だが、やはり民間事業者が率先して動かないと何も実現しませんね。横浜の藤木さんも言っていたが、水辺が好きなやつが出来るところから始めていかないと何も動かないと。都市計画や大学に期待してもなかなか難しいようですよ。今後は国際化する羽田などと舟運が繋がるとTokyoの第一印象がガラッと変わるのではないでしょうか。
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by canalscape | 2008-11-24 22:05 | 舟運・桟橋
2008年 11月 23日

芝浦チャータークルーズ

f0206739_2223853.jpg芝浦アイランドにあるミニマリーナMINAMO(ミナモ)チャータークルーズに同乗させていただく機会があった。このマリーナは主に船舶免許の講習やレンタルボート、チャータークルーズのみを開催しており、個人所有のボートを係留する設備はない。このスタイルのマリーナは都心では勝どきマリーナがあるのみで、極めて特殊なものである。勝どきマリーナは月島の船だまりの一角にあり、遊魚船などの既得権の延長のような雰囲気の場所であるが、ここは田町駅から徒歩8分の再開発された超高層マンション街の足元である。東京湾中探してもこんな都心のど真ん中の新設マリーナは皆無だ。浜松町や品川宿にも屋形舟や遊魚船の船溜りがあるが、あれは既得権が残っているものだ。
なぜここだけ新設マリーナを設けられたのか?なぜ、日本の都心のウォーターフロントにはヨットハーバーがないのか?海外の湾岸都市に行くと必ずあるじゃないですか。夜東京湾に浮かんでる船は屋形船とレストラン船と水上バスだけですよね。なんかおかしいと思いませんか?
一般的に湾岸タワーマンションは湾岸のパノラマを最大の価値としており、NYのような海と摩天楼の夜景をイメージした広告が街に溢れています。この10年で湾岸にタワーが林立し景観としては十分満足のゆく摩天楼感を得られているのではないかと思います。しかし、アイレベルで見た運河や湾岸はお台場や天王洲などを除いては惨憺たる状況です。遊歩道は途切れがち。遊歩道はあっても隣接している建物は背を向け、店舗もない。舟着き場が一切無い。運河に触れない。水辺を眺めること、釣りをすること以外には高いハードルを設けられているのです。結果人気も無く、上から眺める以外は価値が無い水辺となっているのが現状です。
そんな現状を踏まえて、芝浦アイランドは島全体をブロックリノベーションというコンセプトで再開発した画期的な超高層街区なのです。


f0206739_2231853.jpgこの芝浦アイランド、元は工場や倉庫などが建ち並ぶ準工業地域。それが、住居系地域かつ超高層誘導地区に改正され、航空法にかかる高さまでタワーが建てられるほど容積率の規制緩和がされた場所だ。事業主は三井不動産を筆頭にした共同事業体。三井はIHI工場跡地の佃島の再開発を80年代に手掛けており、都心の水辺及びタワー街区企画のパイオニアである。佃から芝浦まで20年近い年月を経ているが、タワーの性能や住戸プラン、デザイン、施設のソフトなどはグレードアップし、時代に合ったものに変化しているが、一番劇的に変わったのは桟橋の設置ではないかと個人的には思う。この桟橋には前出したMINAMOの利用のほか、お台場~豊洲を巡回するアーバンランチという定期船の乗り場も兼ねており、この島は舟運という古くて新しい交通機関でネットワークされている。合わせてMINAMOのようなミニマリーナが併設され、眺める水辺から水面利用へ大きくシフトしている画期的な試みなのだ。桟橋を設置することなど簡単だと思うでしょうが、これが法的に実に厄介なのだ。水面利用の特殊性は書いていたらキリが無いので割愛するが、基本的に公共交通や運送、工事利用以外の商業利用の新たな桟橋設置は認められていない。今回設置できたのは東京都運河ルネッサンスという規制緩和の対象水域に認定され、そのルールに従って可能となった。この運河ルネッサンスという制度、簡単に言うと、公共財産である水面を事業者の営利使用にも貸し出しますよという規制緩和。港湾局に水面使用料を支払い、陸上よりも遥かに厳しい法規制をクリアしやっと小さな水上施設を設置できるのだ。そこに費用対効果などという概念は存在しない。とにかく許可を得るのに、時間とお金と手間がかかるようだ。並みの事業者ではクリアできない規制緩和である。今回は何千世帯もの超大型マンションの一角であるから実現したのだろう。この運河ルネッサンス認定地区は、他に品川天王洲地区、月島朝潮運河などがある。
天王洲のTYハーバーにあるデッキバージを利用した水上レストランwaterlineもこの規制緩和を利用した最初の施設である。噂ではその法的規制たるや大変なものである。親会社が寺田倉庫というヨット界でも有名らしい事業者でなければ成し遂げなかったのではないか。
東京で唯一ボートで食事に行けるレストランです。オープニングには石原ファミリーも勢ぞろいだったそうな。そんなこんなで、2年ほど前から徐々に水面利用施設ができつつあるが、費用対効果が無い限りは次が続かないのではないでしょうか。
ところで、日本郵船関連のレディークリスタルの係留されている桟橋付きレストランクリスタルヨットクラブは90年から存在するが、なぜ可能だったのか?既得権?誰か教えてください。いずれにしても、TYハーバーと夢の島マリーナ以外はボートで食事に行けないとはいったいどうなっているのでしょうね?


f0206739_2241536.jpgさてやっと本題(笑)。このAIR CLAIRというチャーター船。ラグーナというフランス製カタマランヨットである。カタマランはキャビンを正方形に近い形で確保でき、揺れにも強いというメリットがあり、パーティークルーズには最適である。最近日本のマリーナでも見かけるようになったが、モノハルの倍の面積があるため、係留費も倍となる。日本でヨットが普及しない大きな要因の一つに、係留費が高いということがあり、そのハードルの高さは大変なものだ。そんな極上の水上ラウンジに乗れる機会はそうそう無い。お客さんはほとんどが芝浦アイランドの住人でゲストハウスのように使っている様子。ナイトクルーズでバウ(先端)のハンモックに座ると、タワーのゲストラウンジ以上の浮遊感が味わえる。これは、どんな高級なデザインや家具でも代用できない至福の体験である。もちろん、キッチン、トイレ、シャワー付きベットルームも完備された、3LDKだ。個人でクルーザーを所有するほどの財力と操船術、手間をかけなくてもチャーターで手軽に豪華なプライベートクルーズを体験できる。今の湾岸ライフのアッパークラスではこのようなサービスが十分成立するという。もちろん、不定期航路許可事業だ。取得するのに1年数か月もかかったそうで、二度とかかわりたくないとのこと。さらに残念なことに、運河周辺の橋が低く、潮の干満により航行できる時間が限られてしまうそうだ。都市計画では高級ヨットが航行することなど想定していないのだから仕方ないが、そんな周辺環境もクルーズビジネスに影響してくるんですね。本来マストがあり、セイリングできるヨットなのだが、マスト外し、エンジンで運行している。このエンジン電動で、桟橋のバッテリーから充電しているという。先見性のあるエコモバイルですね。クルーズ風景をUPしておきます。
横浜の某大型再開発でも同様の桟橋を設置しようとがんばっているようだ。公共性の高い施設とはいえないために水面占有許可を出すことがハードルなのか、苦戦しているようだ。個人的には公共的なものばかりだと、色気に乏しいため、税金を落としている高額所得者向けのミニマリーナや安価だが趣味性の高いプライベートな水上施設もヨコハマには作るべきかと思うが。なぜ行政は公共性にかたくなにこだわるのだろうか?
その他事例、実は芝浦より先に住友不動産が天王洲に開発した超大型マンションワールドシティータワーズの運河沿いにも桟橋がある。この桟橋はマンション住人のみを対象にしたチャータークルーズ船が乗降時のみ着岸できるようだ。個人のビジター艇は停められない。ここは運河ルネッサンス対象外エリアであるが、名目は防災用船着き場である。平時はレジャーに使ってもよいことになったようだ。施設の有効利用で結構なことと思うが、これも、財閥系デベの政治力がないと実現しなかっただろうと港湾局の方から聞いたことがある。桟橋と防災、横浜でも切っても切れない関係としてクローズアップされてくるはずだ。
今回はセレブな雰囲気の湾岸タワーマンションの島住人のためのサービスという感じであり、部外者はには敷居が高い。次回は、僕らでも使えるもう一つのチャータークルーズについて紹介する。
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by canalscape | 2008-11-23 21:57 | 舟運・桟橋
2008年 11月 15日

JFEスチール扇島に行ってきた

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JFE京浜のJFE祭りに行ってきた。鶴見線浜川崎で下車し徒歩数分で会場に到着。小雨の降るあいにくの天候だが、ものすごい人出。
さっそく、厚板工場見学の申し込みに向かったが、長蛇の列。途中で閉め切られてしまったので、島内バス見学にエントリー。その他クルーズによる見学コースもあった。あきらかに工場マニアと思われる人もいたが、大部分は社員の家族と思われる人達。改めて大企業であることを実感。1時間後バスに乗り扇島へ。京浜運河の下の海底トンネルをくぐる。このトンネルJFE専用か?扇島に上陸すると、まるでAKIRAの世界。荒涼と近未来が同居したような錆と赤い世界が広がっていて圧倒される。溶鉱炉のすぐ下を通ったが、スピードを緩めることなく、サクッと通過。シャッターチャンスは一瞬だ。工場鑑賞家を対象にしているわけではないので仕方ないが、なんとかならないんですかねこの淡白さ。鉱炉の景観価値についてもう少し真剣に認識するべきと思うが。解説では扇島は植樹が多く景観と環境に貢献していると言っていたが、何たる勘違いか!植樹のせいで、せっかくの工場景観が隠れてしまう。そんな訳で、ほんの一瞬ではあったが、大変興奮したツアーであった。扇島溶鉱炉写真UPしておきます。
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by canalscape | 2008-11-15 19:56 | テクノスケープ
2008年 11月 14日

on your body を見た。

f0206739_165971.jpg今日は仕事のキリが良かったため、東京都写真美術館で開催中の日本の新進作家展 VOL.7 オン・ユア・ボディーに行ってきた。
BPA墨屋の紹介でこないだの京浜運河工場クルーズにも参加してくれた写真家の高橋ジュンコさんが出展している。木曜と金曜は20時まで開いてるのでサラリーマンにはありがたい。
本企画は女性作家ばかり6人が出展している。澤田知子の写真は非常にわかりやすく意図が理解できるが、その他の作家は正直僕のような素人にはなかなか解かりづらいものだった。その中で、高橋さんのビデオ作品TOKYO MIDはとても気がかりなメタファーに満ちている。都市のスクラップアンドビルドが続き、パワフルでスピーディーな経済活動が展開されているビジネス街の都市風景が映し出されている。混沌とした都市風景と目まぐるしく変化し続けるアクティビティーの中に、静止した女性の身体が写し出されている。本来都市は人間によって人間のために発展してきたはずなのだが、もはやコントロール不能のモンスターか第2の自然のように感じる時がある。非人間的なスケールとスピードで休むことなく活動し続ける都市のなかで、彼女の身体は奇跡的に都市の流れに翻弄されつつも存在している。何かタイミングがずれると、あっという間に流されてしまいそうな危うさを感じた。対象が静止することで周辺の環境がいかに流動的でノイズに溢れているかが対比的にクローズアップしてくる。ここに映し出されている日常的都市風景は動画のせいか、ジャンクションや工場のような美しく、癒されるものとは違う。何か神経を苛立たせ圧倒するような制御不能な都市風景だ。超高層の工事現場のクレーン。渋滞する首都高。大量の人や車が行きかうスクランブル。圧迫され存在を消されそうな高架下の日本橋川。都市の隙間にかろうじて生き延びる河川と身体という自然。
ノイズにまみれた都市に翻弄され、抑圧されながらも共存せざるをえない現実と、それでもしたたかに生きていける身体の強さを感じた。作者の本意は不明だが、僕はそう感じた。
余談だが、高橋さんの工場クルーズのレポート添付しておきます。
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by canalscape | 2008-11-14 19:55 | 書籍・映画・イベント
2008年 11月 09日

横浜クリエイティブシティーシンポジウム2008に行ってきた

横浜市創造都市事業本部主催のシンポジウムに行ってきた。お題は、「創造都市のこれまでとこれから」と大風呂敷だ。僕は分科会2の「拠点からまちへ」というまちづくり系の分科会を聴講。午前、午後の計6時間にも渡るシンポジウムだ。僕は寝坊して11時から聴講。内容は都市資産活用による新たなる展開と戦略についてセッションしていた。ここでも東京同様、今後は新しいスタイルのアーバンツーリズムを模索しなくてはならない。新たなコンテンツの掘り起こしや、昔からあるが意外と知られていない都市資産がまだまだあるはず。それらを、アートイベントを介して認知していこうという話であったかと思う。それにはまずホストとなる地元の住人がそれらを認識している必要があるし、各自がクリエイティブな働きかけをしていかなければならない、また横浜を拠点に活動制作しているクリエイターが増えていかないといかんなどというような話であったかと思う。また、ツーリズムを産業として育てるには横浜で宿泊してもらわなければならないし、それにはナイトライフを充実させないと魅力薄だなどごもっともなお話も。まあ、何処の都市も大方こんなような議論が昨今の主流であるかと思うが、低成長時代の都市の特徴づけって、大方それしかないのだろうか?横浜で今クリアにしなくてはならないことは何を都市資産ととらえ、コンテンツを組みどのように運営してゆくのかというかなり具体的な仕組みの話のはずだが・・・。横浜はコンテンツが豊富なため、なかなか絞れないのでしょうか。もちろん、水面利用や近代化遺産の活用なども話に出ていたが、具体的な方策に触れられることは無かった。総論共感できるが、もう少し掘り下げた議論が聞きたかった。
ところで、黄金町とNYKを結ぶ水上タクシーに人が乗っているのをあまり見かけないとの発言がどなたかが言っていたが、あの短いコースの中にはかなりの景観コンテンツがある。しかしながら、僕が乗った時もそれらのガイドが一切されていなかったし、質問しても何も答えがなかった。実にもったいないことである。このセッションを聞いて、大山一派がやっているような景観価値を発見しエンタメ化する行為は横浜でもかなり有効なのではないかと、改めて感じた。なにも仰々しくアートを制作しなくても、カメラとWEBで誰もが気軽に場合によってはアートを超える驚きを発信できるのだから。


f0206739_110116.jpg昼食を挟んで、メンバーを入れ替えて午後の部へ。テーマはずばり「港湾都市横浜の今後」だ。パネラーにBPA発足当初からお世話になっている国土交通省港湾局の難波課長が参加されている。横浜の港湾活性化について以前より関わっておられ、市民の水面利用への理解はおそらく国交省の中では突出している。個人の趣味の範囲を超え、役人として水面や水辺のアート活動などをサポートしてくれる方は本当に少ないのが現実だ。さらに横浜で3代にわたり港湾荷役業、倉庫業、艀業などを営み、現在では本牧の巨大コンテナヤードも運営している藤木企業から藤木横浜港運協会副会長が参加している。正真正銘のハマのゴットファーザーである。このような場に出てくることは珍しいのではないか?その他4名は横浜ではお馴染みの大学教授。僕の今回の興味は、港湾の今後について官と民を代表するお二方がどのような話をされるかである。物事を具現化してゆくのはやはり民間企業であり、彼らがどのような事業を仕込み運営し、官がどのようなルールやジャッジを下すかが焦点となると僕は思う。藤木さんの関連会社にはタイクーンというLOFTをリノベーションしたレストランがあり、東京湾でも数少ない、ビジターボートが係留できる民間のスポットがある。また、赤煉瓦倉庫横水面でのフローティングヨットショーなど通常の法規制の中ではありえない企画を実施しており、その他水上タクシーの提唱など新しいスタイルの港湾利用を提唱実行している数少ない事業家であると思う。その他、都市交通の専門家である羽藤先生のお話も明快で興味深いものであった。移動願望は人間の本能に根ざしている。移動するアート。インナーハーバーの新たなシークエンスの発見。など興味深いキーワードに溢れていた。最近の若年層は購買意欲だけでなく移動意欲も減退している、IT化の弊害かというのも引っかかる。
さて、難波氏からは役人らしく横浜港湾事業の歴史と現状についてお話があり、港の構造変革や横浜市の税収の依存度が依然として港湾事業からが高く、港湾なくして横浜は語れないなどの素晴らしいレクチャーがあった。世界の港湾事業の主流はコンテナ事業にあり、コンテナ船はどんどん大型化している。またそれに伴い巨大船が着岸できる大深度の埠頭が必要で、コンテナヤードも徐々に周辺に広がっている。現在横浜で最新かつ最深のヤードは南本牧埠頭の水深25mで全長400mの巨大船が着岸できるとのこと。ここはまさにBPA企画の横浜キャナルクルーズのコース②で廻った場所であり、景観コンテンツとしても非常に面白いエリアである。逆にインナーハーバーは港湾事業としての利用価値は低くなっており、現状レストラン船や水上バス以外はほとんど船の航行が無いエリアとなっており活気に乏しいとの指摘があった。(前にも書いたが、クルーザーで遊びに行って着岸出来るところがほとんど無いのですよ。)最後に国交省の防災フロートをアートイベントに貸し出した事例を紹介。今後も防災等の名目で設置されつつある港湾施設を開放できるよう努力したいとのお話であった。


f0206739_1104328.jpg次に藤木氏のお話。特にPPTなどはなく、スピーチのみで港湾事業の変革により、インナーハーバーの事業転換も必要なのは重々理解しており、様々な提案をしてきた。しかしながら、ご自身のお父上をはじめとした高齢化している港湾業界の重鎮方の意識の違いや依然として変わらない厳しい法規制について言及されており、世界の港湾カルチャーに比べて大きく後れをとっている大きな要因としていた。インナーハーバーについては、事業の収益にはならないが、東京には真似できないヨコハマ港湾文化としての活用を積極的に手掛けたい。オーストラリアの港湾でも事業をしているが、あちらの役人は事業提案に対してこうすれば実現できると前向きにアドバイスをしてくれるが、日本では基本的に後ろ向きな対応しかいただけないとのこと。レベルが違うが、BPAがこの4年間で強く感じていることも同様である。水辺は既得権や複雑な利権が絡み合っていたり、行政の縦割り化も強く、一歩水面に踏み出せばすかさず何処かから警告の笛を吹かれるという感じである。いくら横浜市や国交省港湾局が許可しても、運輸局がダメなら成立しないのである。
2005年のトリエンナーレ以来水面利用をしてきた経験から感じることは、今後運輸局管轄の旅客船に関わる法規制を緩和していかない限りインナーハーバーの活性化はありえないと素人ながらに思う。しかしこのハードルは高く、水面利用に特化した研究会等設置しないと進展しないのではと感じた。今回のクルーズ企画で感じたのだが、水辺のコンテンツは現状でもかなり豊富にあるし、まだ少数だが確実な需要があると強く感じた。あとは、法規制の緩和があればいくらでも水上価値の提案はできると思うのだが。
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by canalscape | 2008-11-09 19:50 | 書籍・映画・イベント
2008年 11月 03日

21世紀の船出プロジェクトに参加した

f0206739_1949656.jpg10月に国土交通省主導の高速船を使用した運航実験モニターツアーに参加した。コースは10時に竹芝桟橋を出航し千葉のサッポロビール工場見学、さらにJFE東日本製鉄所を見学し竹芝まで戻るもので、1日がかり。臨海エリアの工場などの産業観光と水上交通を組み合わせ、舟運の可能性を探るのが趣旨のようだが、参加者を見た限りでは、関係者及びその家族と思われる方がほとんどでこれでモニタリングになるのかという感じもした。
このジェット船、離島の足として全国でメジャーになりつつある。
ジェットフォイルと水中翼で船体が浮き上がるため波の影響をほとんど受けないという優れもの。船というより飛行機に近い感覚である。それもそのはず、この船ボーイング社が製造しているらしい。一度船体が浮きあがると、素晴らしいスピードで海上を滑降し、揺れもほとんど無く船橋まで30分ほどでついてしまう。残念なのは最前列前方窓が鉄板でふさがれてしまい、前方が見えないことだ。以前浦賀沖で謎の大波に襲われフロントガラスが破壊され海水が流れ込む事件があり、それ以来塞いでしまったようだ。しかしこの船膨大なオイルを消費し大量のCO2を排出するのではないか?今の時代結構運営が厳しいのではないかと想像する。そんなジェット機並みの船を25名のために運行してしまう国交省は太っ腹だ。市民やNPOの水上利用にもこのくらい太っ腹で臨んでほしいものだ。


f0206739_1949352.jpgさて、竹芝を出航し、大井埠頭などのコンテナヤードと巨大コンテナ船を右舷に、左舷に中央防波堤を見ながら舞浜沖へ。写真を撮りそこなうほどのスピードで、新幹線から見る車窓の風景の流れ方に近いものを感じる。あっという間に、海に面するサッポロビール工場へ。船で工場内敷地に上陸できるのは国交省企画ならでは。民間企画でもできるようにすればいいのにと思うが、法規制の壁は高い。今の旅客船運航の法の中では、不定期航路で乗船地以外で旅客の乗降をさせるのは認められていない。個人所有のレジャーボートも同様で、基本的には東京湾内に数ヶ所しかないマリーナでしか乗降もしくは停泊できないこととなっている。クルーザーを買っても行くところが少ないとお嘆きのオーナーが多いのはこの規制のためだ。規制緩和すれば日本の水辺は格段に賑やかになるはずだ。ところでよく、釣舟で沖の防波堤に釣り客を輸送しているのを見かけるが、あれはどうなっているのだろうか?まさか既得権だなんて言わないよね。
ビール工場を見学し再度乗船し千葉港へ。さすがにJFE敷地内への上陸は無理のようで、千葉港の埠頭からバスでJFEへ。


f0206739_1950519.jpg憧れのJFE。期待を裏切らない光景が車窓を横切る。窓があかないのがまどろっこしい。なりふり構わずシャッターを切る。
バスを下車して溶鉱炉内見学も。凄すぎる。まるで映画のセットのようだ。一眼レフ持参の工場マニアが見当たらないのが不思議だ。
みんなコンパクトカメラで行儀よく撮っておりガツガツしていない。
僕は大興奮で、何時間でも居座りたい気分であった。
はとバスのようなオープンエアーの乗り物で、ゆっくり見学できるといいんですがね。どこもかしこも絵になる光景ばかりでしたが、写真が撮れないのが残念だ。
JFE見学で大満足で帰路に就く。大井埠頭のガントレーが夕陽に映えて美しい。今日も東京湾岸のタワーマンション群を海から眺めて興奮した。こんなによく建ったなと、いつ見ても圧倒される。
たしか4700円くらいだと思ったが、大変お得なツアーであった。
これも税金の恩恵かと思うと心が痛む。実験結果はどのように公開周知され、その後どう生かされるのだろうか?内輪で完結することのないようにお願いしたいですね。
こちらに写真をUPしましたご覧ください。
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by canalscape | 2008-11-03 19:44 | テクノスケープ
2008年 11月 02日

第2回 京浜運河工場クルーズ

f0206739_19375328.jpg今日は秋晴れ。空気も澄んでおり、写真を撮るには絶好のコンディションだ。しかしながらクルーズの天敵である風がかなり強い。北がブローで16ノットは吹いていると思われる。やはり扇島の海側コースは難しいとの船長判断。こればっかりはどうしようもない。今日は京浜運河の中を北上する。さすがは海のアウトバーン京浜運河
この程度の風なら問題なく航行できます。強風の日は運河のありがたさを実感しますね。今日も満員御礼の大盛況、出航するやいなや皆さんバシャバシャ撮ってます。先日子安地区のクルーズにも参加いただいたT大都市工の学生も何人か来ている様子、勉強熱心で何よりだ。REの日高さんや西澤さんも参加してくれた。LOBが係留してある場所のすぐ傍である新木場貯木場跡水面でイベントを計画中とのこと。そこも京浜運河同様いろんな大学やデベロッパー、広告代理店が動いているようだ。あそこは私有水面だ、いや護岸は私有だが水面自体は公共空間だ等いろんな噂が聞こえてくる。BPAも半年前に某デベへ企画提案し、その後デベが港湾局と協議したが撃沈された。とにかくすごく魅力的な水面なのですが地権者のコンソーシアムが複雑極まりないらしい。水辺と水面はとにかくややこしい話が多い。REにはなんとかブレイクスルーし、水面利用の先陣を切ってもらいたいものだ。


f0206739_19393030.jpg
今日は空気が澄んでるからか、右舷JFEの鉄屑やスラグがきれいに見える。しばらく落ち着いて北上していたが、浮島が近づき石油系コンビナートが近づいてくるとデッキがあわただしくなった。大山さんが煽るせいかまたたくまに戦闘モードに突入だ。天候が変わるとやはり違った表情を見せる工場群。このコースかれこれ往復十回は航行しているが飽きることは無い。大師運河や千鳥運河など京浜運河の脇道運河は当初予算の関係で省略との話もあったが、ここまで来てそんな勿体ない話はないでしょう。ドリンク無しでもいいから入ってほしいとお願いし実現した。見どころ満載で本当にいいコースだ。工場だけでなく1枚目の写真のような、スイスのヘルツオーク アンド ムーロンの建築のようなLOFTもありますよ。図らずしてこのミニマリズムとプロポーションすごいかっこいいです!こんな脇道コースがあると無いとでは大違いだ。水面からだとどこもかしこも丸見えで実に無防備だ。そんな感じで前回同様大いに盛り上がっているなかさらに朗報が
北風が収まってきたので、扇島沖側コースを廻るとのこと。いやー素晴らしい。


f0206739_1940114.jpg前回とは逆にヤードからアプローチ。逆光の中、鉱炉のシルエットが神々しい。日没直前の赤い夕陽に照らされ、錆びた溶鉱炉が最も美しく見える瞬間ではなかったか?いやいやこれ以上ないコンディションだ。石井さん今日も黙々とシャッターを切る。翼橋をくぐるころ日没。美しい夕焼けの中帰路に就く。大山さん、八馬さんも実に満足そうだ。BPA墨屋さん眠そうですねお疲れ様。
今日も夕景の横浜都心のシルエットがいつもどおり船を迎えてくれる。横浜港に入港するたびに、スカイラインが実に巧みにコントロールされているなと感心する。同じタワーマンション群でも東京湾岸とは全く異なる光景だ。きれいに整いすぎており、いまいち摩天楼的興奮がないのが残念だ。何故か、人為的デザインが入り込むとある種のテンションが下がってしまう。
当日の写真UPしました、ご覧ください。

これで横浜キャナルクルーズを含めて計6回の3エリアのクルーズを実施したが、どれも事故がなく、思い出深いものとなった。
どれも、今までにないスタイルのクルーズだが、実験的にでも実施できたことは大きな収穫だと思う。ひとまずオフィシャルなクルーズはこれで終了し、今後は資料の整理と、今後の課題をまとめて行きたいと思う。港湾の法規制とその弊害についても大変面白い機会に恵まれた。今後この経験をどう生かせるかが課題だ。
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by canalscape | 2008-11-02 19:33 | クルーズイベント