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2011年 02月 06日

「船→建築 ル・コルビュジェがめざしたもの」を見た

f0206739_22212680.jpg久々blog更新。すでに若干古い話だがまだまだ開催中なのでご紹介。
去年の年末に横浜の日本郵船歴史博物館で開催されている「船→建築 ル・コルビュジェがめざしたもの」を見に行ってきた。船好き、建築好きにとっては何が何でも見逃せない。建築評論家 五十嵐太郎さんの監修で、あの日本郵船旧本社を転用した歴史博物館での開催。

本展では客船のデザインが、建築の合理性を提唱した近代建築のプランやデザインに与えた影響を丹念に探り出しフューチャーしている。コルビュジェだけでなく、山田守などの日本を代表する近代建築家への影響も述べられており大変説得力のあるものであった。建築は意匠がある程度自由に選択できるゆえに純粋に航行する船としての機能とバランスの必然性の結果である客船様式に既存の建築様式から飛躍するよりどころを求めたのは自然な成り行きであるように思う。
一部ややこじつけ的な比較もあったが、屋上デッキ、煙突、白い塗層、窓、手すり、タラップなど建築ボキャブラリーごとに比較分析されているところがしびれますね。なんだか大山顕さんの「団地の見究」の分析みたいだ。団地もインフラとしての合理性がベースにあるからかどことなく船っぽいんだよね。ボリュームも横長板状であることや白い塗装であることも要因かな?

どうでもよい話だが、思い起こすと僕も初めてのプラモ体験はタミヤの戦艦陸奥、夏休みの工作は木工でノルマンディーもどきを作ってたっけな。娘がプラモを作ってみたいというので買ってやったのも偶然にも日本郵船 新田丸だ。氷川丸の姉妹船ですごく素敵なシルエット。
建築設計を職業に選んだことと子供の頃の船への憧れはとてもダイレクトに繋がっているのだと改めて認識した。そういえば昔の戦艦と工場って萌えポイント近くないですか?今の自分の趣向と子供の頃の趣向はあまり違っていないようだな。


さて、渡り廊下を通過して奥の展示室に行くと壁紙がセイムスケールの船の立面図で埋め尽くされているすごい展示室がある。船好きはこの壁紙見てるだけで30分は楽しめる。
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そしてコンクリート船を転用した救世軍宿泊所の貴重な映像記録が。恥ずかしながらコルビュジェが船の影響を受けていたのは知っていたが、こんなことやっていたとは知りませんでしたね。だいたいコンクリートで船ってすごいね。軽量コンクリートなんてなかった時代でしょ。ちゃんと浮くんだな、しかも90年もだぜ!

セーヌ川はバトファーというエリアに水上ヴィレッジがあり、クラブやギャラリー、事務所、カフェなどに使われており水上空間の文化が根付いているようですね。うらやましい。

横浜や東京にも戦後の住宅不足時には艀が住宅に使われていたようです。特に艀業に従事していた人々は家族で艀の船首または後尾の4.5帖ほどの船室に住み暮らしていたそうだ。
艀住まいの子供たちは家が常に移動しているという特殊な住環境のため普通の学校には通えず、水上学校というところに通ったそうだ。当時の水上生活者の様子は「水上学校の昭和史」に詳しく書かれています。今でも横浜の中村川には2隻の600tバージが住居として現役稼働している。
一隻は完全な住居、もう一隻は簡易宿泊所でその名も「北斗星」。豪華寝台特急北斗星とは対照的なスペースだな。当然日本では既得権によって黙認されているだけで、新規の設置はあり得ません。

そんなことに思いを巡らしながら気が付いたら閉館時間に。完全に意識がトリップしてしまった企画展でした。常設展も船好き港湾好きには見ごたえ十分。山下公園に係留されている氷川丸の内覧チケットパックもあるので、その気になれば軽く半日楽しめますね。こちらは建築ボキャブラリーであるアールデコを内装に取り入れた客船氷川丸。とても素敵な船です。
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by canalscape | 2011-02-06 22:53 | 書籍・映画・イベント


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