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2010年 10月 12日

品川・大田の京浜運河の魅力

最近、twitterというその場限りの情報発信メディアに翻弄されてしまい、蓄積型のblogがすっかり疎遠になってしまった。書くべきネタは山のようにあるはずなのについつい即効性メディアに捕まってしまい時間も欲望も吸い取られている。そんな訳でなんと2ヶ月ぶりの更新だ。夏や初秋にもいろいろあったのだが忘却の彼方へ。いかんなこの習慣。

さて本題。京浜運河というと、工場クルーズで有名な川崎京浜運河を思い浮かべる方が多いと思うのだが、品川区・大田区の京浜運河もシブくてなかなか良いのだ。東京の運河というと、南は芝浦、品川天王洲くらいまでは有名だがその南に行ったことある人は少ないのではないでしょうか?こちらの京浜運河、タワーマンションも水際商業施設はもちろんのこと、巨大工場もロックゲートなど華々しい運河の主役たちは存在していないので当然かと思います。だがこの水域、派手さはないがコアな水辺好きにはたまらい魅力にあふれた水域なのです。メディアに取り上げられることも少ないので、意外と認知されてない運河コンテンツが隠れています。今回は僕自身が興味深々の品川・大田の京浜運河の魅力についてのご紹介。
こちらに見どころの周辺図をリンクしておきました。

ご存知かと思うが、東京と横浜を結ぶ運河のアウトバーン京浜運河。多摩川をはさんで大きく2分されている。東京都側の京浜運河は芝浦LOOPを起点に、東京モノレールや首都高速1号羽田線と並行して羽田まで伸びている。周辺には大井の巨大コンテナバースと湾岸道路が海側にあり、その流れで運河周辺には大型で最新の倉庫や物流センター、市場などが多数立地している一大物流拠点なのだ。この北の大井ふ頭から国際化する羽田空港に挟まれたこの水域は新興の埋立地が点在しており、地図で見ると群島のような様相である。そこには、一見して江戸や明治の歴史を継承した痕跡は見当たらず、高度成長期へのノスタルジーも東京モノレールや首都高1号と八潮団地に感じるのみで、大部分はドライな現代のテクノスケープのみが圧倒的な存在感で立地している。このいわゆる工場とは違った乾いたテクノスケープ。それがこの水域最大の特徴だ。具体的にはワイドでまっすぐな京浜運河沿いにアップダウンしながら並走する東京モノレールの軌道と首都高速1号羽田線。それに沿って点在するハイスペックな大型倉庫とそこで働く人たちの団地群。まさに現代の東京を支える広大なバックヤード。そんな感じの水域なので景観の変化が大味、いつものようなゆったりした移動速度では退屈するだろう。もっと足の速い船が適切だ。また、このような起伏に乏しく広大な水域は低い視点で観て面白いのか?こんなエリアはgoogleで上から見た方がゾーニングやインフラが一覧でき圧倒的に楽しめるのだが・・・。

だがしかし、そんなエリアにもアイレベルでないと見落としてしまうコンテンツは必ずあるはずだ。実際に船で注意深く航行し気になった場所を陸上からアクセスしてみる。するとやはり、しぶとく江戸の痕跡が細々と残っているではないか。いまやブラタモリなどですっかり定着したが、この知られざる痕跡を発見することほど面白い探索はない。

さあ、やっと本当の本題だが、この大味な京浜運河の分岐水路がなかなか面白い。
下記に簡単に紹介しておこう。

勝島運河:現在は一部を埋め立てて公園にしているため行き止まり。立会川河口がある。
 すぐそばに旧東海道が残っており、沿道には老舗の蕎麦屋などが健在。レジャー用のポンツ ーンなども設置され、地元のNPOにて運営されている。地元に愛されている水辺。

大井競馬場前防災桟橋:2007年の内閣府都市再生事業の実験でLOBが防災船として一時係 留されていたポンツーン。以前は水上バス乗り場であったが。現在は使われていない。
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平和島競艇場:こちらも勝島運河を途中で埋立て競艇場に

八潮団地の緑地帯と干潟:運河に沿った緑地帯。フェンスが無く、ビジターバースなどある と最高のピクニック・バーベキュースペース。南端の干潟は鳥の楽園になっており、バード ウォッチングの名所である。船での進入は厳禁

白い人工海浜:ふるさとの浜辺公園として整備された人工浜。船から見ると、殺伐とした倉 庫エリアに唐突に表れる白いビーチが興味深い。沖には干潟あり。浅いので航行注意
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大田市場:言わずと知れた、東京の台所。水産の築地市場、青果の大田市場

大田区狭小水路とミニ水門:このエリアは江戸時代より漁業が盛んだったようだ
 堀がいくつも掘られていたが、吞川、内川を除き河口に舟溜まりを若干残すのみで、ほとん ど埋立てられ緑道となっている。
 ちなみに、堀の名前は北から貴船堀、旧吞川、北前堀、南前堀などがあり、いずれも小型の 水門の奥に船溜まりを有している。特に旧吞川の護岸沿いに倉庫や家屋が建っており、水門 内の水面であるため水面にきわめて近い高さに立地している。このような場所は、再開発次 第ではきわめて親水性の高いボートハウス街が実現可能と思う。
 その他、南前堀は首都高高架下水路であり竪川のような見事な直線高架下水路である。
貴船堀
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旧吞川
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回転する首都高橋脚:とてもシュールなテクノスケープ。まるでランドアートのようだ。
 大型船の航行を可能にするため可動させる必要があった。しかし航空法の制限があり、跳ね 上げ橋に出来なかったからなのか?詳しくはこちらのラジエイトさんのブログを参照ください。
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海老取川と船溜まり:今でも漁師街の雰囲気を色濃く残すエリア。最近まで既得権漁船と不 法係留船が密集していた船溜まりであり、水上生活者も存在した。しかし平成20年度に国土 交通省による不法係留船の一斉撤去が実施され、TVでインタビューを受けていた水上生活 者もどこかへ消えてしまった模様。

羽田 多摩川沿いの船小屋と治水の痕跡以前このブログでも紹介したが、このあたりは漁業や遊漁船の舟宿が密集している。木造の桟橋やトタンの船小屋はまるで川俣正の現代アートのような味わい深い空間を意図せず形成している。漁師町羽田の原風景を残す貴重なエリア。陸上も漁師町らしく、路地を介して極めて濃密な街区を形成しており、治水対策のレンガ造りの古い堤防も現存している。
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羽田D滑走路:この界隈の大物新人。多摩川の流れを遮らないように、桟橋形式にした滑走 路。地盤を支えるステンレススチールで出来た超高額橋脚の列柱空間は圧巻だ。まるで神殿 のような神々しさが宿っているといっても過言ではあるまい。
 沖縄の辺野古の米軍滑走路もサンゴへの負担を軽くするための代案として提示されていた  が、このステンレスジャケットは沖縄での生産は不可能なため、本土から運び込むこととな る。大変な出費である。ちなみに桟橋上は土地扱いにならないとか?

実はそのほかにもネタがある。書ききれないので機会があればまた次回。
上記見どころについても調べるといろんな経緯が発見できるだろうがキリがないので概要のみとしよう。
年内にリサーチクルーズやらねばという先走る思いがブログ更新につながった。その調子で続きを近々に(笑)
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by canalscape | 2010-10-12 01:49 | 運河・河川


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