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2008年 11月 23日

芝浦チャータークルーズ

f0206739_2223853.jpg芝浦アイランドにあるミニマリーナMINAMO(ミナモ)チャータークルーズに同乗させていただく機会があった。このマリーナは主に船舶免許の講習やレンタルボート、チャータークルーズのみを開催しており、個人所有のボートを係留する設備はない。このスタイルのマリーナは都心では勝どきマリーナがあるのみで、極めて特殊なものである。勝どきマリーナは月島の船だまりの一角にあり、遊魚船などの既得権の延長のような雰囲気の場所であるが、ここは田町駅から徒歩8分の再開発された超高層マンション街の足元である。東京湾中探してもこんな都心のど真ん中の新設マリーナは皆無だ。浜松町や品川宿にも屋形舟や遊魚船の船溜りがあるが、あれは既得権が残っているものだ。
なぜここだけ新設マリーナを設けられたのか?なぜ、日本の都心のウォーターフロントにはヨットハーバーがないのか?海外の湾岸都市に行くと必ずあるじゃないですか。夜東京湾に浮かんでる船は屋形船とレストラン船と水上バスだけですよね。なんかおかしいと思いませんか?
一般的に湾岸タワーマンションは湾岸のパノラマを最大の価値としており、NYのような海と摩天楼の夜景をイメージした広告が街に溢れています。この10年で湾岸にタワーが林立し景観としては十分満足のゆく摩天楼感を得られているのではないかと思います。しかし、アイレベルで見た運河や湾岸はお台場や天王洲などを除いては惨憺たる状況です。遊歩道は途切れがち。遊歩道はあっても隣接している建物は背を向け、店舗もない。舟着き場が一切無い。運河に触れない。水辺を眺めること、釣りをすること以外には高いハードルを設けられているのです。結果人気も無く、上から眺める以外は価値が無い水辺となっているのが現状です。
そんな現状を踏まえて、芝浦アイランドは島全体をブロックリノベーションというコンセプトで再開発した画期的な超高層街区なのです。


f0206739_2231853.jpgこの芝浦アイランド、元は工場や倉庫などが建ち並ぶ準工業地域。それが、住居系地域かつ超高層誘導地区に改正され、航空法にかかる高さまでタワーが建てられるほど容積率の規制緩和がされた場所だ。事業主は三井不動産を筆頭にした共同事業体。三井はIHI工場跡地の佃島の再開発を80年代に手掛けており、都心の水辺及びタワー街区企画のパイオニアである。佃から芝浦まで20年近い年月を経ているが、タワーの性能や住戸プラン、デザイン、施設のソフトなどはグレードアップし、時代に合ったものに変化しているが、一番劇的に変わったのは桟橋の設置ではないかと個人的には思う。この桟橋には前出したMINAMOの利用のほか、お台場~豊洲を巡回するアーバンランチという定期船の乗り場も兼ねており、この島は舟運という古くて新しい交通機関でネットワークされている。合わせてMINAMOのようなミニマリーナが併設され、眺める水辺から水面利用へ大きくシフトしている画期的な試みなのだ。桟橋を設置することなど簡単だと思うでしょうが、これが法的に実に厄介なのだ。水面利用の特殊性は書いていたらキリが無いので割愛するが、基本的に公共交通や運送、工事利用以外の商業利用の新たな桟橋設置は認められていない。今回設置できたのは東京都運河ルネッサンスという規制緩和の対象水域に認定され、そのルールに従って可能となった。この運河ルネッサンスという制度、簡単に言うと、公共財産である水面を事業者の営利使用にも貸し出しますよという規制緩和。港湾局に水面使用料を支払い、陸上よりも遥かに厳しい法規制をクリアしやっと小さな水上施設を設置できるのだ。そこに費用対効果などという概念は存在しない。とにかく許可を得るのに、時間とお金と手間がかかるようだ。並みの事業者ではクリアできない規制緩和である。今回は何千世帯もの超大型マンションの一角であるから実現したのだろう。この運河ルネッサンス認定地区は、他に品川天王洲地区、月島朝潮運河などがある。
天王洲のTYハーバーにあるデッキバージを利用した水上レストランwaterlineもこの規制緩和を利用した最初の施設である。噂ではその法的規制たるや大変なものである。親会社が寺田倉庫というヨット界でも有名らしい事業者でなければ成し遂げなかったのではないか。
東京で唯一ボートで食事に行けるレストランです。オープニングには石原ファミリーも勢ぞろいだったそうな。そんなこんなで、2年ほど前から徐々に水面利用施設ができつつあるが、費用対効果が無い限りは次が続かないのではないでしょうか。
ところで、日本郵船関連のレディークリスタルの係留されている桟橋付きレストランクリスタルヨットクラブは90年から存在するが、なぜ可能だったのか?既得権?誰か教えてください。いずれにしても、TYハーバーと夢の島マリーナ以外はボートで食事に行けないとはいったいどうなっているのでしょうね?


f0206739_2241536.jpgさてやっと本題(笑)。このAIR CLAIRというチャーター船。ラグーナというフランス製カタマランヨットである。カタマランはキャビンを正方形に近い形で確保でき、揺れにも強いというメリットがあり、パーティークルーズには最適である。最近日本のマリーナでも見かけるようになったが、モノハルの倍の面積があるため、係留費も倍となる。日本でヨットが普及しない大きな要因の一つに、係留費が高いということがあり、そのハードルの高さは大変なものだ。そんな極上の水上ラウンジに乗れる機会はそうそう無い。お客さんはほとんどが芝浦アイランドの住人でゲストハウスのように使っている様子。ナイトクルーズでバウ(先端)のハンモックに座ると、タワーのゲストラウンジ以上の浮遊感が味わえる。これは、どんな高級なデザインや家具でも代用できない至福の体験である。もちろん、キッチン、トイレ、シャワー付きベットルームも完備された、3LDKだ。個人でクルーザーを所有するほどの財力と操船術、手間をかけなくてもチャーターで手軽に豪華なプライベートクルーズを体験できる。今の湾岸ライフのアッパークラスではこのようなサービスが十分成立するという。もちろん、不定期航路許可事業だ。取得するのに1年数か月もかかったそうで、二度とかかわりたくないとのこと。さらに残念なことに、運河周辺の橋が低く、潮の干満により航行できる時間が限られてしまうそうだ。都市計画では高級ヨットが航行することなど想定していないのだから仕方ないが、そんな周辺環境もクルーズビジネスに影響してくるんですね。本来マストがあり、セイリングできるヨットなのだが、マスト外し、エンジンで運行している。このエンジン電動で、桟橋のバッテリーから充電しているという。先見性のあるエコモバイルですね。クルーズ風景をUPしておきます。
横浜の某大型再開発でも同様の桟橋を設置しようとがんばっているようだ。公共性の高い施設とはいえないために水面占有許可を出すことがハードルなのか、苦戦しているようだ。個人的には公共的なものばかりだと、色気に乏しいため、税金を落としている高額所得者向けのミニマリーナや安価だが趣味性の高いプライベートな水上施設もヨコハマには作るべきかと思うが。なぜ行政は公共性にかたくなにこだわるのだろうか?
その他事例、実は芝浦より先に住友不動産が天王洲に開発した超大型マンションワールドシティータワーズの運河沿いにも桟橋がある。この桟橋はマンション住人のみを対象にしたチャータークルーズ船が乗降時のみ着岸できるようだ。個人のビジター艇は停められない。ここは運河ルネッサンス対象外エリアであるが、名目は防災用船着き場である。平時はレジャーに使ってもよいことになったようだ。施設の有効利用で結構なことと思うが、これも、財閥系デベの政治力がないと実現しなかっただろうと港湾局の方から聞いたことがある。桟橋と防災、横浜でも切っても切れない関係としてクローズアップされてくるはずだ。
今回はセレブな雰囲気の湾岸タワーマンションの島住人のためのサービスという感じであり、部外者はには敷居が高い。次回は、僕らでも使えるもう一つのチャータークルーズについて紹介する。
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by canalscape | 2008-11-23 21:57 | 舟運・桟橋


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